花の湯
2015年 02月 06日
用事ができて、亡母の郷里の鹿角市花輪に行った。
朝の8時過ぎにカメラを持って路地を歩いていると、古い銭湯を見つけた。
その銭湯と右の建物は一体化しているようだ。趣がある風景だったので、ためつすがめつして写真を撮っていると、玄関の戸が開いて、そこのご主人と覚しき人と目が合った。
「おはようございます。いい雰囲気の造りですね」
二言三言、言葉を交わしていると、見せたいものがあるとご主人が言う。
ややあって、銭湯の入り口が開いた。手招きに応じて入っていくと、由緒ありげな文書を見せてくれた。
これは、この銭湯の開業時に南部藩から交付された営業許可証「風呂免許」だという。日付は天保七年である。ここは創業188年。後ろを流れる「大堰」という農業用水路から水を引いて湯を沸かすことができたので、銭湯を開業したのだという。それが去年12月にボイラーが壊れたので、廃業してしまったのだ。ご主人の顔には、無念の表情があらわれているではないか。
あとで調べると、ウィキペディアに記載があった。鹿角市で唯一現存している銭湯だというが、廃業によって1件もなくなったわけである。この建物は昭和13年に宮大工によって建てられた。釘を一本も使わない接木工法だという。
〔浄土真宗西本願寺専正寺伝道掲示板〕
朝は希望に起き
昼は努力に生き
夜は感謝に眠る