恫喝
2009年 02月 25日
25日付けのA新聞に、駐日米国大使に内定しているハーバート大学のジョセフ・ナイ教授は、民主党の幹部と会い、民主党の掲げる「対等な日米同盟」を目指すことがマニュフェストに明記されれば「反米とみなす」と言った(前原談話)という記事が載った。
これは安全保障政策において、米国の利益に沿わない政策を打ち出したからである。
ジョセフ・ナイ氏は、冷戦後の米国の極東安保構想をつくった人で、その考え方からすれば、日本の米軍基地は、日本の安全保障のためでなく、極東における米国の軍事戦略の要として日本に基地を置いているのであることは自明のことである。つまり、日本の安全に寄与する面はあるにしても、本質的には米国の世界戦略の一環としての米軍基地なのであり、それは、本質的に、米国の必要において、日本に基地が置かれているということなのである。
米国にとって、日本といっそう強固な同盟関係を築くということは、日本をいっそう米国の言いなりにしようということにほかならず、日本を属国扱いにするのは、オバマ政権になってもおそらく変わることのない基本方針であるということだろう。
今までは唯々諾々と米国の言いなりになって政策を立案し、実行してきた。郵政民営化も米国の対日政策要求に従ったものであり、それは直接的に米国(企業)の利益になるからだと言われている。まさに、日本が米国の属国であるからこそ、臆面もなくさまざまな要求を突きつけてくるのである。
日米同盟は必要であるかもしれない。しかし、米国の言いなりの同盟であることから脱却して、対等な関係の同盟を打ちだそうとすると、「反米とみなす」と言われる。これは、恫喝以外のなにものでもない。
今まで自民党は、米国の言いなりになってきた。言いなりになってきたのは、相応の理由があるのだろう。敗戦のトラウマだろうか。米国崇拝のDNAができてしまったからだろうか。あるいは、独自の方針を打ち出そうとすると、民主党幹部のように、恫喝されてきたからだろうか。
オバマ政権になっても恫喝外交が依然として行われるのであれば、ブッシュ時代の「敵か味方か」と恫喝していたころと何ら変わるところはない。表面では力強く「チェンジ」を表明してみせても、その実、力の外交を維持していくということならば、世界の平和は、いつまでたっても遠い先の話になるのではないか。