発酵肥料の観察 その2

3月18日の夜には肥料の温度が67℃まで上がりました。ここまで上がったのははじめてですが、これがピークでした。

さて、本に書かれている発酵肥料の作り方というのは、専業農家が1トンもの量をつくる場合の話で、私のようにわずかな量をつくる場合、きっちりと3段階発酵をしないから失敗だと結論することはないと思っています。発酵段階がどうであれ、アンモニアができそうなところまで発酵していけば、素人としては上出来なのではないかと思います。

〇3月19日 朝には60℃に低下。pH7(中性)に戻っています。昼も変化なし。
蒸散した水分で、新聞紙もダンボールも湿っています。高温になって24時間経過したら切り返すそうですが、そう理屈通りには実行できません。それを守ったら夜になってしまうので、夕刻に水を1リットル加えて撹拌しました。夜になると、45℃、pH5.4になっています。

〇3月20日 朝56℃、pH7。昼58℃、pH6。夜60℃、pH6。
加水と温度とpHとの関係がめまぐるしく変化し、その相関関係がどうも私にはよく分かりません。酸度計の示す数値をそのまま記録していくことにします。
本には、この段階ではあらかじめ散布していた木灰によってアルカリ性になっているとありますが、木灰ではないけれど、七輪の炭灰がありましたので、朝のチェック後にそれを少し(150gほど)加えて撹拌してみました。発酵肥料をつくっていて、炭灰を加えたのは今回がはじめてです。
昼になると、温度はさほど変わっていませんが、pHがやや酸性に傾きました。灰はアルカリ性なのに、どうして酸性に傾くのでしょうか。

〇3月21日 朝30℃、pH6。昼17℃、pH6.5。夜24℃、pH6.6。
急速に温度が低下したので、水分が不足していると思い、午前中に1リットルの水を入れて撹拌しました。肥料を握って開いても固まりが崩れない程度。しかし、1リットルは多かったのかも。ところが、今までならすぐに温度が上がってきたのに、今回は上がり方がゆるやかで、今までと様子がちがいます。pHもほとんど中性になっています。温度が上がってから8日目。臭いに変化はありません。

〇3月22日 朝45℃、pH7。昼65℃、pH7。
高温になってきました。臭いがベランダに漂っています。
午後の3時ころ、ベランダがかなり臭いますので、見ると、ツンと来ました。温度は66℃。pHは正確に記憶していませんが、5.5くらいだったでしょうか。慌ててベランダにブルーシートを敷き、肥料をそこに広げました。モウモウたる湯気。目にも刺激が来ます。これは納豆菌の暴走です。いやはや、もう少しマメにチェックしていれば寸止めできたものを。
肥料が冷めたころ、肥料をコンテナボックスに移し、5倍に希釈した乳酸菌液を500㏄入れて撹拌。その中に挿した酸度計を見ていると、針が落ち着きません。pH6を指していたかと思うと、急にpH7に振れたり、小刻みに揺れたりして、結局pH7に落ち着きました。まるで、酸性とアルカリ性とがせめぎ合っているかのようです。
このままボックスの中に入れておくと、また温度が上がってきそうなので、もういちどブルーシートに肥料を広げておきました。

こうしてみると、納豆菌はなかなかの戦術家であります。「孫子の兵法」を以てすれば、まさに、「兵は詭道なり」を地でいっているではありませんか。
温度を急速に下げ、加水させておいて、しばらくはゆるやかに温度を上げていく。油断させておいて、一気にアミノ酸を分解してアンモニアをつくる。「能にして之に不能を示し、用にして之に不用を示し、其の無備を攻め、其の不意に出づ」そのままです。納豆菌に、してやられました。
(つづく)
Commented by plum at 2009-03-31 11:19 x
一拙さん、こんにちは。
そちらはまだ氷点下ですか~うう・・想像するだけでブルブル
東京もけっこう寒くてまだストーブが手放せません。
発酵肥料、PHがそんなに激しく変化するなんて知りませんでした。
菌が呼吸(?)してその息が強酸性だったり強アルカリ性だったりするのでしょうか・・?
つくっている発酵肥料まるごとPHが均一だと思わない方がいいのですね。
納豆菌は戦術家ですか~不意をつかれた一拙さんはどんな反撃をされたのでしょうか~?
Commented by 一拙 at 2009-03-31 16:45 x
現在のところ、pHは6.6で安定しています。
しかし、酸度計を挿しているだけで正しい酸度が計測できるのかどうか、疑問です。
本当は水に溶かして酸度を測るのが正しいのではないでしょうか。
肥料は温度が下がったまま、変化はありません。
もうじき、酵母菌を混ぜ込み、硫安と塩化カリを加えて最終発酵をさせるつもりです。なにせ、日中もまだ寒いのですから。
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by 130atm | 2009-03-23 09:10 | 発酵肥料・堆肥 | Comments(2)

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by 一拙
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