今こそ総括を
2010年 07月 01日
パラグァイに負けたのは残念でしたが、彼らはそれなりに頑張ったと思います。岡田監督が目指したベスト4には残れなかったとしても。
私はほかの人びとのように、チープな称賛の言葉を発することはしません。「感動をありがとう」とか、「勇気をもらいました」とか、「日本代表にお礼を言いたい」とかいうレベルの称賛の言葉は、いったい何なのでしょうか。私のようなへそ曲がりのオジサンには、ただの浮かれ言葉としか思われません。
元サッカー選手をはじめ、メディアに登場した人たちのほとんどが、「パラグァイにはぜったいに勝ちます」と公言していたではありませんか。勝つと宣言して敗退してしまったことの落とし前は、どうつけるつもりなのでしょうか。
思い出すのは、「一億総〇〇」という言葉でした。そして、太平洋戦争での緒戦の勝利に酔い、連戦連勝で冷静な判断力を失い、次もきっと勝つ、いや、勝たないはずがない、と無謀な戦争を拡大していった旧日本軍の姿と、それに熱狂的なエールを送ったマスメディアと日本国民の姿でした。
旧日本軍も日本国民もあの戦争の総括をいまもってしていないように、日本代表チームが敗退の根本的原因を深刻に総括しないかぎり、ベスト4を目指す力は育たないように私には思われます。
もう、「岡田ジャパン」とか、「サムライブルー」などという歯の浮くような言葉を使うのはやめようではありませんか。「日本代表チーム」でいいではありませんか。
ついでに言います。NHKのワールドカップテーマソングをいつも聞かされますが、言葉が聞き取れず、何という歌詞なのかさっぱり分かりません。カタカナ語と英語と日本語がぐちゃぐちゃに入り交じって、聞き取りにくいことこの上ありません。若い人たちは、あの歌を聞いて興奮するのでしょうか。そもそも、何を言っているのか、分かるのでしょうか。
私は希望します。「パラグァイにはぜったいに勝つ」とテレビで言ったスポーツ関係者、サッカー解説者、コメンテーター、アナウンサー、タレントたちは、テレビで国民に懺悔し、謝罪し、頭は丸めなくてもいいから、なぜ判断を誤ったのか、自己分析をしてみせて欲しい。それが総括というもの。浮かれて国の行方を誤らないためにも、冷静な判断力というものを身につけて欲しいと思うのであります。