過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ。

私はあまり福島原発事故のことに詳しくはありませんが、ある月刊誌を読んで、戦慄したことがありました。
それは、二つの幸運によって、日本が破局から救われたということでした。
第一は、福島原発が日本列島の東側に位置していたこと。そして第二は、原子炉の蓋が飛ばずに底が抜けたということです。

日本列島は西風の吹くことが多いので、事故が発生すれば、放射能雲のほとんどが東に流れていきます。西側にも僅かではあるが放射能は流れ、その結果、汚染地域が発生してしまいました。
もしこの事故が若狭湾や四国や九州の、日本列島の西側の原発で起きていたら、日本列島のほぼ全域が「帰宅困難地域」になっていたであろうというのです。

第二の幸運は原子炉の蓋が飛ばなかったこと。チェルノブイリ原発事故では原子炉の蓋が吹き飛んだために、原子炉の放射能の半分近くまでもが環境に噴出し、周辺国にまで甚大な被害をもたらしました。
福島事故では、原子炉建屋は吹き飛んだものの、原子炉本体の蓋が飛ぶには至らなかったので、チェルノブイリのような惨劇を引き起こすことはなかったというのです。

当時の福島第一の所長であった吉田氏は、日本が三分割されることを恐れたといいます。つまり、日本人は北海道と西日本にしか住めなくなることを危惧したのです。そして当時の菅直人首相は、真剣に首都圏5000万人の避難計画を考えていました。

原子炉がメルトダウンを起こし、核燃料が地下に落ちてよかった、というのではありません。地下に落ちたことで地下水は汚染され、それが地下水脈とどのようにつながって、どこに行ってしまうか。これもまた、恐ろしいことになっていくことでしょう。そのまま海へ流れ出ていくだけなのか、それとも、関東の地下水に流れ込んでいくのか。見えないだけに、想像すらできない事態の進行が危惧されています。

原発事故が起こったとき、米国は半径80キロの範囲に住んでいた米国人に対し、避難を勧告しました。それは一部の日本の企業でも行われたことで、いち早く仙台から他県に避難した知人もおりました。歌人の俵万智さんは住んでいた仙台市の実家を離れ、子どもを連れて一時的に沖縄の石垣島に避難しましたが、結局そこに住むことになりました。
西日本より東には住めないようになったら、日本人はどうなるのでしょうか。これはまさに「日本壊滅」です。そういう恐ろしい事態になったかもしれないと考えたら、これは戦慄せずにはいられません。

若狭湾にあるのは大飯原発です。野田首相だったときに再稼働させたこの原発の地下に活断層があるのかないのかで、議論が分かれています。ここの原発の定期検査で、稼働している日本の原発はゼロになりましたが、再稼働ありきの自民党政権下では、そのうちにあちこちの原発が再稼働していくことでしょう。大飯原発に限らず、もし日本のどこかの原発で重大事故が起きたら、オリンピックどころではなくなります。日本ばかりでなく、世界中が戦慄する事態になってしまうでしょう。
原発事故は二度と起こらない、と断定できる根拠はどこにもないという現状下で原発を再稼働させるとか、外国に原発を輸出するとかいうことは、どう考えても、正気の沙汰ではありません。
タイトルは『論語』の一節ですが、過ちはすぐに改めてもらわなくてはなりません。
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by 130atm | 2013-09-15 21:51 | 日常雑感 | Comments(0)

民草のつぶやき


by 一拙
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