蝴蝶の夢

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2015年 06月 25日

生きている土と死んでいる土


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マンション裏の菜園は、16区画に分割している。
ここの土は均一ではなく、場所によっては粘土質だったり、赤土だったり、あるいは黒い土の混じっているところもあった。私があみだくじで選んだ区画は、砂混じりの粘土質のところだった。
私は底をけずってほぼ完全に土を入れ換え、土作りをしてきた。ほとんどの仲間はそれまであった土に何かを加えるというやり方で野菜を栽培している。

菜園仲間はそれぞれに、自分の意欲と知識に応じて菜園を営んできたが、ここに来て、大きな差がつきはじめている。
農家出身の某氏は、冬のあいだにも土を養生するということなく、ホウレンソウや蕪などを栽培してきた。彼の区画はいちばん陽当たりがいい場所なので、冬でも朝から日照に恵まれているのである。彼は冗談に、「生活がかかってるからなァ」と公言してはばからない。
彼は、今年9株ものナスを植えつけた。どうしてそんなに植えるのかと訊くと、枯れてしまうものを計算にいれたという。彼のナスは毎年のように枯れていくものがあるのだ。
今年の彼のナスはいつも以上に不調のようだ。ポット苗のときより少しは生長しているが、茎が細くて葉にも生気がない。実のついたものもあるが、それ以上実が生りそうもない。
ほかの人のナスは、何もしてないのにちゃんと育っている。自分のものだけがどうしてこうなのか。彼の悩みは深いようだ。同じ場所に植えているマトやキュウリ、そして枝豆はそれなりに育っているのに、ナスはいったいどうしたのだろう。


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某氏のナス。写真ではよく分からないが、手前に支柱に支えられた3株のナスがある。30センチに満たない丈だ。赤茶けた土をよく見ると、アリが這い回っているほかには、土壌小動物がまったく見当たらない。どんな土でもダンゴムシぐらいはいるものだが、それさえもいない。

某氏は化学肥料だけを施肥しているし、農薬もバンバン噴霧している。今まで農薬で体調が悪くなったことはいちどもないと豪語してはばからない。年に1回は牛糞堆肥を入れ、腐葉土も混ぜ込んでいるのに、どうしてナスの育ちが悪いのか、その理由が分からない。

私の区画のナスの株は、日に日に大きくなっている。ほかの仲間のナスの生長はほとんど止まってしまったが、私のナスはまだ生長をつづけている。
私の菜園の土を近づいてよく見ると、赤いトビムシがよく目につく。白いトビムシ、ササラダニ、キシャヤスデ、ジムカデ、ハサミムシなど、特に雨上がりの時にはたくさんの名前も分からない小さな虫が這い回っている。赤いトビムシが群がっているところには、必ずミミズなどの死骸がある。

某氏の土と私の土を一言でいうならば、死んでいる土と生きている土ということになるだろう。私の区画には、今は生ゴミ堆肥を入れないし、家畜糞堆肥も入れていない。大量の落葉と、発酵を促す米ぬかだけである。だから土は腐植物そのものだ。肥料には通販で購入した有機肥料を今は施肥しているが、これにはシマミミズも群がるけれど、トビムシも群がっている。病害虫のための化学農薬は一切つかっていない。だから、土壌小動物が繁殖する条件がそろっている。

某氏のナスはなぜ育たないのか。その原因を某氏にはっきり言ってあげることはむずかしいことだ。真剣に相談に来るのであれば、私の知っているレベルにおいて、順を追って説明してあげることはできる。しかし、相談されてもいないのに、ナスが育たないのは土が死んでいるからだ、と言ってやることはできない。それは彼のプライドを傷つけることになるし、怒りを買うことにもなりかねないからだ。ナスがまともに育つような生きた土にできるかどうかは、彼の意欲と知性にかかっているのである。

by 130atm | 2015-06-25 20:02 | 野菜 | Trackback | Comments(4)
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Commented by sakae at 2015-06-30 17:08 x
うん確かに土は生きているんですよね。
Commented by 一拙 at 2015-06-30 21:19 x
土は生きています。
生きているから、土壌小動物も生きられる。死んでいる土にはヒメミミズもいません。
Commented by nodoka at 2015-07-05 15:19 x
ご無沙汰を致して居りました。
土に関しては、同感です。
土は、植物の支配者だとさえ思うのです。
震災後、ヘドロを掻き出し、老いた身体の悲鳴を聞きながら、こちらの堆肥づくり等
ネットをさまよい、土と有機肥料作りに励みました!
今、その成果が出つつあるのを実感しております。
元気な内に花いっぱいの庭をもう一度と!
あらためて、土は大事なのだと思っています!
農薬を使わなくても薔薇たちは、咲いてくれています。
3年前に作ったもみ殻、落ち葉などの堆肥は、熟成して、もみ殻は、しっかり堆肥化しています。
土は、人間が大事に育ててやらなければ、荒廃するものだと、思うこの頃です。
お世話になりました!
Commented by 一拙 at 2015-07-05 21:04 x
私の堆肥づくりは、落葉を発酵させることだけになりました。
頼みのフトミミズがもうほとんどいなくなってしまいましたので、落葉堆肥だけの土づくりです。
私は籾殻を堆肥化せずに直接混ぜ込んでみましたが、それだけでも土が空気を含んで膨軟になったと思います。
土作りはこれで完成ということがありません。試行錯誤をしながら、楽しんでいきたいと思います。
あまり無理なさらずに、ボチボチといきましょう。
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