アンキモとシャトー・フィジャック
2006年 12月 30日
28日に家人と仙台朝市にでかけ、少しだけ買い物をしてきました。
今年は2人の娘も帰って来ないので、おせち料理も作らず、普通の食生活をしようと思っていたのです。そこで家人に時間ができたので、いつも私がする買い出しを2人でしただけのことでした。
仙台朝市と言っても上野のアメ横のような人出はありませんが、それでもいつもよりは多く、品揃えもすっかり正月用品だらけ。
見てまわっているうち、冷凍エビや冷凍タラバガニの並ぶ売り場の中に、ビニール袋に詰められた「アンキモ」を見つけました。1キロ入りで、1000円の値札シールの上に600円のシールが貼られています。アンコウのキモは今までパック入りのものを買ったことはありましたが、1キロ入りというのはまだなので、思い切って買ってみることにしました。
夕刻になって袋から取り出すと、大きなキモの塊が2つと切ったものが1つです。これは本当のアンキモでした。実は、本物かどうか疑っていたのでした。
このアンキモを湯通して冷水で洗い、適当にぶつ切りにしました。そして生姜を薄切りにして、料理酒とミリンと醤油を同量合わせ、黒砂糖を少し足して煮立て、アンキモを甘辛く煮上げました。
ビニール袋に入っている状態ではそんなに多いとは感じなかったのですが、1キロという量はかなりのものです。煮上げてしまってから、もっと調べてから調理すべきだったと思ったのですが、後の祭り。
日本酒は切れたままですので、このまま食べようと思っていたところ、家人がワインの肴にしたらどうかと言います。なるほど、ワインにフォアグラは合いますので、アンキモが合わないということはありません。
台所の小さな地下収納庫のフタを開け、新聞紙で厳重に包んで横にしてあるワインを1本取り出しました。ラベルをつくって貼っておいたのですが、長い年月を経てすっかり消えかかっていますので、新聞紙を取り外すまではよく分かりません。
出てきたワインはシャトー・フィジャック。ヴィンテージは1992年。サンテミリオン第一特別級の赤ワインです。鉛の封を取り、コルク栓を慎重に抜きました。そして少しだけグラスに注いでみたら、澱がたくさん混じっています。長いあいだワインは飲んでなかったので、澱が落ち着くまで待たなくてはならないのを忘れていたのでした。
澱のやや落ち着いたワインを飲んでみると、タンニンの渋みがほどよく残っていて、酸味もあり、香りもしっかりしていて、なかなかバランスがとれています。地下収納庫は温度の変化が少ないので、しっかりと熟成しています。これを買ったのはボトル詰めをした2年後ですから、たぶん2000円台の値段です。グレートヴィンテージではないので、こんな値段で買えたのです。そのころはまだ日本がワインブームに浮かれる前でした。
アンキモと赤ワインの取り合わせはなかなかのもの。たった600円の買い物で、これだけの贅沢ができるのです。それにしても、何日かけたらこのアンキモを食べ尽くすことができるのか。
ワインは半分近く飲んだだけで翌日にまわすことにしました。ボトルの空気を抜く道具もありますので、翌日になってもほとんど変質していません。まあ、こういうのを一点豪華主義と言うのでしょう。
値段のことを書くのは気が引けますが、ちなみに1992年のシャトー・フィジャックの値段をネットで調べてみたら10000円以上はしているようです。まさに、時は金なり!