スズメ事件
2007年 01月 31日
まず再生した古土と、土着菌活性液を浸み込ませた米ぬかをほぼ同量混ぜ、鉢土の表面を覆いました。その上に不織布のマルチをかけますから、米ぬかが発酵して鉢土の表面が白く菌糸で覆われるという寸法だったのです。
数日経つと、鉢土表面の米ぬかに菌糸がかすかに認められるようになりました。そこにスズメがやって来たのです。
スズメは10数羽。庭に降りたって地面を啄んでいるようでしたが、それが鉢に飛び乗り、マルチを押しのけて米ぬかを食べ始めました。これはヤバイと思い、庭に出て追い払いましたが、家に戻るとまたやって来ます。
いたちごっこをしているうちに、マルチは放り出され、鉢土が蹴散らされています。日向軽石も竹炭もゼオライトもミミ糞も鉢の周囲に散乱しているではありませんか。
これはまずいと思い、鉢土表面の米ぬかの混じった土を掻き落とし、コンテナに入れました。このためにバラの細根がすっかり露わになってしまいました。不織布のマルチをその上に被せておいたのですが、それでもスズメはやって来てマルチを押しのけ、残った米ぬかを啄んでいます。1年で最もエサのない時期ですから、食べられるものを見つけると、そこに集中的にやって来るのでしょう。
そこで一計を案じました。スズメを囮に誘い込んで捕獲するのです。
発酵に使っていた台所用水切りカゴのカゴを伏せるように置いて、中に米ぬかを撒き、トイレットペーパーの芯を半分に切って紐を通し、家の中まで伸ばしました。スズメがカゴの中の米ぬかを啄んでいるときに紐をグイと引き、カゴの中に閉じこめるという寸法です。しばらく閉じこめておくだけで、殺したりするのではありません。恐い目に遇えば、きっと敬遠してくれるだろうと思ったのです。
翌朝、明るくなると果たしてスズメはやって来ました。まずは偵察の2羽がフェンスに停まり、庭の様子を見てから降り立ちました。しかし鉢には停まろうとしません。そしてすぐに飛び立ちました。
やがてスズメの本隊が10数羽やってきました。しかし、フェンスにとどまったまま、庭に降りてこようとはしません。見慣れないカゴを見て警戒したのでしょう。経験豊富なスズメが警戒の声を発したに違いありません。スズメ達はやがて飛び去っていきました。
翌日になるとまたやって来ました。今度は囮から遠い場所に降り立ち、地面を啄み、そして鉢に飛び乗りました。マルチをめくって米ぬかを啄んでいましたが、長居することなく飛び立っていきました。
その後はスズメが来なくなりました。囮に近づくスズメがいなかったのは計算違いでした。カラスも利口ですが、スズメも劣らず警戒心があるようです。スズメたちは他所にエサを見つけたのでしょうか。それとも、ほとぼりが冷めたらまたやって来るのでしょうか。
写真は掻き落とした鉢土です。米ぬかに菌糸が発生したので、土の表面に少しだけ米ぬかを撒いてみました。そうすると白っぽい菌糸で土が覆われました。この菌糸はやがてほかの菌に取って代わって見えなくなりますが、そうなったらまた鉢土に戻そうと思っています。そういう状態になれば、スズメも啄むことはなくなるでしょう。いや、スズメは利口だから、またその土を掻いて無残なことになるかもしれません。何かほかの対策も考えておく必要がありそうです。
さて、数日たつとスズメはまたやって来ました。囮のある風景にも慣れたのか次第に囮に近づくようになり、ついにカゴの中の米ぬかを啄むようになりました。じっと観察しているわけにはいきませんから、たまたま昼近くにそっと庭を見てみると、カゴの中に1羽が入って啄んでいたのです。そこで部屋に引き込んだ紐をつかみ、一気に引っ張りました。スズメは一斉に飛び立ちましたが、1羽はカゴの中でバタバタと暴れています。遂に捕獲成功!
このスズメのグループはその日はもうやって来ませんでしたが、違うグループと覚しき2羽のスズメがやって来て、カゴの周囲に散らかった米ぬかを啄みながら捕まったスズメを不思議そうに見ています。なぜカゴの中にスズメがいるのか合点がいかなかったのでしょう。
そのスズメを追い払い、かねてより用意していた目玉模様の「ビックリ風船」をフェンスにくくりつけました。どれほど効果があるのか分かりませんが、時々場所を変えて様子を見ようと思います。
くだんのスズメは3時間ほど懲らしめてから放免してあげました。違うグループのスズメがまたやって来るかもしれませんから、囮は元通りにセッティングしておきました。
こんな子どもの遊びのような囮でも、スズメを捕らえることができました。最初は警戒しますが、慣れてくるとそれがゆるんでくるようです。エサのとぼしい冬場に、可哀相と思ってエサをあげたりしていると、隣近所に糞害が及んでしまいます。野生のものにエサを与えるのは彼等にとってもよくないのです。
本格的に暖かくなるまで、スズメとの攻防はつづくのではないでしょうか。