ミヤマオダマキの用土

「山野草の土」というのがある。
山野草といっても、高山の瓦礫に生えているのもあれば湿地に生えているものもあって、その土壌の条件は同じではない。湿地に生えているものは別としても、大方の山野草の平均的な土壌というものを考えて、だいたい何にでも使えるようにして売っているものが「山野草の土」というものらしい。
その土の配合は、赤玉土(小粒)3:鹿沼土(小粒)3:蝦夷砂(小粒)2:ピートモス1:腐葉土1というのがひとつのモデルである。

というのは、寒い冬のあいだ外に出していたミヤマオダマキを室内の出窓に移していたのだが、少し葉が伸びてきたものの、軽石を多く入れたニホンオダマキのように旺盛な生長を見せないので、根腐れでもしているのではないかと心配になってきたのである。ミヤマオダマキの用土はいい加減につくったもので、残っていた赤玉土も入れておいたが、完全に微塵になってしまっていた。元々これは瓦礫の中に育つ山野草なので、腐葉土だのピートモスだのといったものは本来必要ではなく、小石ばかりでも立派に育つのではないかと思い始めた。

葉は大きくならないが、ひとつだけ小さな蕾らしきものがのぞいているので、このままではいじけてしまうと思い、用土を完全に替えてしまおうと考えた。参考にしたのが「山野草の土」である。
しかし、赤玉土も鹿沼土もいずれ微塵になるものなので、こんなものは使いたくない。捨てることなしに、毎年使い回しのできるものにしたい。そう思って、あれこれと材料を考えてみた。夜中にトイレに起きたときにもそのことが頭に去来し、しばらくあれこれ考えて寝つけなかったくらいである。しかし、その時に考えたもので用土をつくることにした。

6号のスリット鉢を使うのだが、鉢底には日向土の大粒を使う。これはあるブログで教えてもらったもの。普通の軽石より孔が少ないので、排水性はよくなる。用土の配合は、まず家にある焼成赤玉土(中粒)を3、蝦夷砂(中粒)を3、少し残っている日向土(中粒)を2、ピートモスを1、そしてフトミミズの糞(小粒)を1というのである。
桐生砂も考えたが、店で現物を見た結果、今回は見送ることにした。フトミミズの小粒の糞はバラの古土を篩にかけて残しておいたもので、純粋な糞ではなく夾雑物が多い。
かくて、ホームセンターで買ってきたのは日向土大粒と蝦夷砂中粒だけである。小粒にしなかったのは、保水性が高くなって根腐れの心配があったからである。中粒ばかりで配合したら、通気性も排水性もいいだろう。8割が小石系になると、有機物はほとんどなくなる。上から灌水するとそれら有機物系が小石の中に隠れてしまって、まるで小石だけの用土に見える。
ミヤマオダマキの用土_f0086944_15274934.jpg

オダマキに向いた用土をネットで調べてみるとみなマチマチで、どんな土でも育つというものまであった。中には小石系だけで有機物はなしという徹底したものもあった。これはさすがに不安で、2割を有機物系にしてみたのである。
施肥も、これはほとんどやらないほうがいいというものから、元肥や置肥まで施肥するというものまで、実にマチマチで、どうしたらいいのかさっぱり分からない。自生している場所のことを考えたらほとんど施肥の必要もなさそうだが、少し大きくしたいとか、花をたくさん咲かせたいとかいうことになれば、やはり肥料も必要になろうかと思う。

ミヤマオダマキでこれほどあれこれ考えることもないのだが、「窮極の用土」というものを考え始めると、これがまた実に楽しいのである。材料を揃えるには少し費用はかかるが、大した額ではない。自分の考えた用土が果たしていい結果をもたらすのかどうか、それは花を咲かせてからでなくては分からない。
では、なにを以て結果よしとするのか。これはむずかしい問題で、株が大きくなったからいいのではなく、たくさん花を咲かせたからいいというのでもないとすれば、ここはやはり自生地でのたたずまいに近いものをよしとしたらいいのだろうか。しかしそれは、その環境ではそこまでしか育つことができなかったと看做すこともできる。どう見ても徒長であるというのでなければ、やはり株はそこそこ大きくなり、たくさんの花を咲かせてくれたら、この用土はうまくいったということになるだろう。

8号のポットからミヤマオダマキを掘り上げると細い根が鉢底石にまで絡みついていて、根腐れしているわけではなかった。鉢の土をぶちまけたら、シマミミズが1匹出てきた。まったく油断も隙もない。
新しい用土にする小石系のものはよく水洗いした。これは必須の作業。植えつけたミヤマオダマキは少し腰高になったが、たっぷりと灌水して水を切り、出窓に移してからしばらくのあいだ、耳を鉢に寄せると「ピチピチ」という音がしてしていた。水が下に落ちていく音だろうか。

今日は石灰硫黄合剤をバラに塗った。これはこの冬3回目の塗布で、これで最後だ。芽が少し伸び始めている。
Commented by sakae at 2008-03-06 18:24 x
石灰硫黄合剤今年も使用しないでいこうと思います。
今でもマルチングのハーブが虫食いになっているという事はまだいるなキャツラ。
テデトールには限界があるかな?
Commented by 一拙 at 2008-03-06 22:10 x
石灰硫黄合剤を塗布しても必ずウドンコ病にかかるし、黒星病にもかかります。単なる気休めか。
Commented by なるほど at 2019-04-24 17:18 x
初めまして
私も全く同じ考えでミヤマオダマキを栽培したんですが、その考えで問題ないと思いますが、
問題はミヤマオダマキをこぼれダネから自然に増やすという増殖のところで つまずきました。

私の庭が日当たりが良いのが問題かもしれませんが、過去オダマキを何度育てても数年で消えました。
寿命かもしれません。オダマキは短命らしいので。
それじゃぁ、こぼれダネで勝手に増えて行くと思いきや、全く発芽しなかった。

そこでミヤマオダマキの画像を片っ端から見ました(笑)
自生地では高山帯の岩場の隙間に生えたり、草地に生えたりと、高山帯だから理解出来ることはありました。

じゃあ、平地でそれを再現するには、どうすればいいかと考えた時に、ある画像を見て
ヒントが浮かびました。

それが隙間と言うやつです。
いわゆる、ど根性何ちゃらって言われる、アスファルトの隙間、コンクリートの隙間から育つ植物ですね。

隙間を直線的にこしらえてオダマキを植えれば、こぼれダネで横に向かって増殖してくれそうだと考えたんです(笑)
まだ実行に移してませんが、レンガや石を組み合わせて隙間を作って、その下は砂利をすき込んで水はけを
良くすると言うのが今の計画です。

近々実行に移します。
ミヤマオダマキは用意しました。本当にリベンジしたいんです。
オダマキにはずっと振られ続けてるので(笑)
人によってこぼれダネで困るくらい増えるという話も聞きますが、それはたまたま環境が良かったんでしょう。

オダマキは隙間で勝負します。普通に植えたら弱いと思います。
今回は頑張ってみます。
Commented by 一拙 at 2019-04-24 21:00 x
なるほどさん、はじめまして。
ミヤマオダマキはすっかり姿を消してしまいました。
10年も前には、私もいろいろ試行錯誤していたのですね。
山野草は難しいので、失敗ばかりです。何とか残っているのはヤマエンゴサクと節分草ぐらいのもの。
園芸種ですが、オダマキは白花だけが残っています。今年はいただきものの濃い紫のオダマキがありますが、名前が分かりません。

好きになった植物を、用土などあれこれ考えて試行するのは楽しいものですね。
Commented by なるほど at 2019-04-25 01:44 x
一拙さん、こんばんは
ミヤマオダマキは消えたんですね
分かります。オダマキは増える環境なら、苦もなく増えるし
環境が悪ければ、努力しても報われないことを。。

昨年ミヤマオダマキの種子を蒔いたであろう場所を今日再度確認したら
一ヶ所だけ芽生えてました。
砂利と石の境界線でした。

仮に育っても決して見栄えの良い場所ではなかったんですが、
その時はオダマキってこんな場所が好きだったよな〜と思いながら種子の幾つかを蒔きました。

結果的にはそこが正解でした(笑)
やはりと言うのか、ミヤマオダマキの自生地を考えれば、生育に適した場所は、石、砂利、礫の隙間でした。

増えて欲しい見栄えのする場所より、確実に増える場所。

これがオダマキ栽培のポイントかもしれませんね

僕の計画では駐車場のコンクリート部分と庭の境界部分に僅かな隙間を作ること。そこに種を入れ込む、
これが確実ですね

今まで失敗続きだったので、これでリベンジ出来そうです。
これで増えなければ、余程環境が悪いってことですね
Commented by なるほど at 2022-05-04 09:16 x
2019年にコンクリートの隙間に芽生えた日本オダマキ(葉だけ確認)はその後夏越し出来ず絶えました。。
日本オダマキにしろミヤマオダマキにしろ、環境に合う合わないがかなりありそうですね。。
あれこれ考えず、苦もなく育つ庭も実際にあったりで、オダマキが育つ環境がイマイチ分からない。

実は今春も懲りずに挑戦します。
昨春も挑戦しました。5ポットを分散地植えして今春1ヶ所で芽出しを確認、現在開花まで来てます。
これは人生初の快挙ですね〜(笑)

過去に日本オダマキ、ミヤマオダマキ、西洋オダマキが、地植えで、2年連続で定着した事がなかったので、
少し希望の光が見えて来ました。庭の東側で日陰すぎず、明る過ぎず。。
ただ、花が一輪で終わったので、微妙な場所ですね〜、はぁ難しいぃ〜(@@)答えが見えなない。。

これまで大概の野草はクリアして来てるんですがね。
理想は、こぼれダネで増えることですね。ヒトリシズカはこぼれダネで増えるようにまでになりました。
栽培10年のアツモリソウも株の維持と開花はそれなりに。

何故かオダマキは難しい。東側に植えたりしてもね。地植えなので土のPHまでは気を遣ってはないけど。
今春も8株を分散して植えます。
Commented by 一拙 at 2022-05-04 13:07 x
なるほどさん、お久しぶりです。
ミヤマオダマキはむずかしくて、私の手には負えませんでした。
今は裏菜園の通路に植えた10株ほどの白花オダマキが咲いています。
そして、日本オダマキの子孫がこぼれダネであちこち咲いています。
ミヤマオダマキはロックガーデンでないと、むずかしいでしょう。
めげずにいろいろ挑戦することは素晴らしいことです。
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by 130atm | 2008-03-02 15:27 | 山野草 | Comments(7)

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by 一拙
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